20年のときを経て受け継がれるベース 後編
本日のブログは、昨日続き、ベース・マガジン 2012年7月号の記事『20年のときを経て受け継がれる1本の銘器を巡るエピソード/レクスト×川崎哲平』(166ページ)と連動しております。前編、そしてベースマガジンの記事と合わせてお楽しみください。
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20年間も眠ってしまうことになった、銘器78年フェンダー・ジャズベース。一時は手放すことも考えました。しかし、“サドウスキー輸入1号”、“青木智仁氏前所有”と良いエピソードを持っているベースだけに、単なる中古品として出回ってほしくないという想いがあります。
なんとなくですが、その歴史を継いでくれる方との運命を待つことにしました。
そして出会ったのが、川崎哲平さん。著書『すぐできる! 新・最高音質セッティング術』の添付CD制作で、私が思い描いていた完成図をはるかに超える、最高のプレイを聴かせてくれました。川崎さんなら、止まっていたこのベースの歴史に、新たな音を刻んでくれると確信した次第です。
バイオリンの銘器が弾き続けられるように、良いベースは長く現役で音楽を奏でてほしいもの。レコーディングやライブで、この78年フェンダーが活躍してくれることを願い、川崎さんにこの78年フェンダーを託すことにしました。その譲渡会の模様を取材していただいた記事が、今回のベースマガジンです。
少し脱線しますが、ジャズベースについて解説しましょう。同じジャズベースタイプでも、70年代後期モデルは独特のサウンドを有しています。その秘密は、リアピックアップの位置にあるのです。

分かりやすいよう、写真に線を入れました。右の78年フェンダーはリアピックアップが赤い線のように少し下側に設置されているのが分かると思います。ピックアップは、いわばマイクです。弦に対してマイクの位置が異なるのですから、両器でサウンドが異なるのは明白。このピックアップの位置が違うという情報も、インターネット検索の無い時代では、全く知られていませんでした。
マーカス・ミラー氏のサウンドに憧れて、どれだけ多くのベーシストがTCTプリアンプを愛器ジャズベースに搭載したでしょうか。しかし、あのマーカスサウンドには絶対になりませんでした。私もそれに泣いた一人(笑)。ジャズベースタイプは、いわゆる“オールドフェンダー”を手本にしているので、驚くことに新品・中古を問わず世に流通している9割くらいが、写真左のピックアップ位置を採用しています。単にTCTプリを内蔵しても、あのNYサウンドにならなかったのはそのためです。
最近では、マーカスサウンドを追い求めるベーシストは減少傾向にあり、逆に“マーカスっぽくない”ほうが好まれるようです。写真左のピックアップ位置から生まれるジャズベースサウンドが好きなベーシストのほうが、圧倒的に多いと思います。
しかし、同じジャズベースでも、とにかく私は写真右の70年代後半ピックアップ位置のサウンドが大好き。最近、77年や78年ジャズベースを愛器とするベーシストが減ってきているので、そのフラストレーションといったら(笑)!この78年フェンダーが活躍してくれたならば、私を含め70年代後半ピックアップ位置マニアは、大いに喜んでくれるはずです。
川崎さんの即戦力ベースとなるよう、レクストでも楽器本体に特殊チューニングを施しました。その楽器の各個体に合わせて振動モードを考慮し、特殊レゾナンス・チップを使用するチューニングです。ヘッドに金色系レゾナンス・チップが貼ってあるのが、ベースマガジンの写真で分かると思います。これにより、78年フェンダーは更に芯のあるサウンドへとグレードアップしています。この楽器本体へのチューンアップは、非常に効果が高いので、将来的には個別にご相談が受けられるようなプログラムへと発展させてみたいと検討中です。
今回の記事が掲載されたベースマガジンが、青木智仁氏の命日である6月発売であったのも、何かの運命でしょうか。生前、青木氏にこの78年フェンダーについて直接お話しを聞く機会がありました。使用されたのは角松敏生氏やノブケインのライブのみで、残念ながらレコーディングされた音源は無いとのこと。この銘器の歴史は、まだ始まったばかりなのです。
私も、今では音源制作ができる立場に居ます。そこで、この78年フェンダーを使い、川崎さんと面白い新作レコーディングをしてみようと企画中です。オーディオ好きの方が驚くような手法での新録音。それに使用する専用プリアンプ+ダイレクトボックスを新たに製作するつもりで、ちょうど回路図を今日書き上げました。著書『すぐできる! 新・最高音質セッティング術』添付CD。そしてハイレゾ音源として販売している『低音 played by D&B feat.EV』の続編となるような作品になりそうです。音源制作の時期は未定ですが、販売スタイルは、おそらくCDシングルとハイレゾ配信になるかと思います。どうぞお楽しみに!
最後に、78年フェンダー譲渡会で収録した動画から、まだ他にお見せできるところが無いかと探してみて、30秒くらいのフレーズを見つけました。『低音』CDのケーブル比較試聴のフレーズが、ちょっぴり飛び出します!ぜひご覧ください。
78年フェンダー譲渡会の動画は、すでに下記3つをアップロード済みです。合わせてご覧ください。
●ベース川崎哲平氏が弾く78年フェンダージャズベース
●【65年vs78年フェンダー】川崎哲平氏が弾く65年ジャズベース
●【65年vs78年フェンダー】川崎哲平氏が弾く78年ジャズベース
こうして65年と78年のジャズベースを聴き比べてみると、やっぱり私は78年が好き(笑)!決定版の新録、今からワクワクしています。
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20年間も眠ってしまうことになった、銘器78年フェンダー・ジャズベース。一時は手放すことも考えました。しかし、“サドウスキー輸入1号”、“青木智仁氏前所有”と良いエピソードを持っているベースだけに、単なる中古品として出回ってほしくないという想いがあります。
なんとなくですが、その歴史を継いでくれる方との運命を待つことにしました。
そして出会ったのが、川崎哲平さん。著書『すぐできる! 新・最高音質セッティング術』の添付CD制作で、私が思い描いていた完成図をはるかに超える、最高のプレイを聴かせてくれました。川崎さんなら、止まっていたこのベースの歴史に、新たな音を刻んでくれると確信した次第です。
バイオリンの銘器が弾き続けられるように、良いベースは長く現役で音楽を奏でてほしいもの。レコーディングやライブで、この78年フェンダーが活躍してくれることを願い、川崎さんにこの78年フェンダーを託すことにしました。その譲渡会の模様を取材していただいた記事が、今回のベースマガジンです。
少し脱線しますが、ジャズベースについて解説しましょう。同じジャズベースタイプでも、70年代後期モデルは独特のサウンドを有しています。その秘密は、リアピックアップの位置にあるのです。

分かりやすいよう、写真に線を入れました。右の78年フェンダーはリアピックアップが赤い線のように少し下側に設置されているのが分かると思います。ピックアップは、いわばマイクです。弦に対してマイクの位置が異なるのですから、両器でサウンドが異なるのは明白。このピックアップの位置が違うという情報も、インターネット検索の無い時代では、全く知られていませんでした。
マーカス・ミラー氏のサウンドに憧れて、どれだけ多くのベーシストがTCTプリアンプを愛器ジャズベースに搭載したでしょうか。しかし、あのマーカスサウンドには絶対になりませんでした。私もそれに泣いた一人(笑)。ジャズベースタイプは、いわゆる“オールドフェンダー”を手本にしているので、驚くことに新品・中古を問わず世に流通している9割くらいが、写真左のピックアップ位置を採用しています。単にTCTプリを内蔵しても、あのNYサウンドにならなかったのはそのためです。
最近では、マーカスサウンドを追い求めるベーシストは減少傾向にあり、逆に“マーカスっぽくない”ほうが好まれるようです。写真左のピックアップ位置から生まれるジャズベースサウンドが好きなベーシストのほうが、圧倒的に多いと思います。
しかし、同じジャズベースでも、とにかく私は写真右の70年代後半ピックアップ位置のサウンドが大好き。最近、77年や78年ジャズベースを愛器とするベーシストが減ってきているので、そのフラストレーションといったら(笑)!この78年フェンダーが活躍してくれたならば、私を含め70年代後半ピックアップ位置マニアは、大いに喜んでくれるはずです。
川崎さんの即戦力ベースとなるよう、レクストでも楽器本体に特殊チューニングを施しました。その楽器の各個体に合わせて振動モードを考慮し、特殊レゾナンス・チップを使用するチューニングです。ヘッドに金色系レゾナンス・チップが貼ってあるのが、ベースマガジンの写真で分かると思います。これにより、78年フェンダーは更に芯のあるサウンドへとグレードアップしています。この楽器本体へのチューンアップは、非常に効果が高いので、将来的には個別にご相談が受けられるようなプログラムへと発展させてみたいと検討中です。
今回の記事が掲載されたベースマガジンが、青木智仁氏の命日である6月発売であったのも、何かの運命でしょうか。生前、青木氏にこの78年フェンダーについて直接お話しを聞く機会がありました。使用されたのは角松敏生氏やノブケインのライブのみで、残念ながらレコーディングされた音源は無いとのこと。この銘器の歴史は、まだ始まったばかりなのです。
私も、今では音源制作ができる立場に居ます。そこで、この78年フェンダーを使い、川崎さんと面白い新作レコーディングをしてみようと企画中です。オーディオ好きの方が驚くような手法での新録音。それに使用する専用プリアンプ+ダイレクトボックスを新たに製作するつもりで、ちょうど回路図を今日書き上げました。著書『すぐできる! 新・最高音質セッティング術』添付CD。そしてハイレゾ音源として販売している『低音 played by D&B feat.EV』の続編となるような作品になりそうです。音源制作の時期は未定ですが、販売スタイルは、おそらくCDシングルとハイレゾ配信になるかと思います。どうぞお楽しみに!
最後に、78年フェンダー譲渡会で収録した動画から、まだ他にお見せできるところが無いかと探してみて、30秒くらいのフレーズを見つけました。『低音』CDのケーブル比較試聴のフレーズが、ちょっぴり飛び出します!ぜひご覧ください。
78年フェンダー譲渡会の動画は、すでに下記3つをアップロード済みです。合わせてご覧ください。
●ベース川崎哲平氏が弾く78年フェンダージャズベース
●【65年vs78年フェンダー】川崎哲平氏が弾く65年ジャズベース
●【65年vs78年フェンダー】川崎哲平氏が弾く78年ジャズベース
こうして65年と78年のジャズベースを聴き比べてみると、やっぱり私は78年が好き(笑)!決定版の新録、今からワクワクしています。
2012/06/20(Wed) 17:47:46 | 著書
