DAC-NS1S解説 4

本日は、バージョンアップしましたDAC-NS1Sのバランス音声出力について解説します。

先日、マスタリング・スタジオ“オレンジ”の小泉さんに、DAC-NS1Sをご購入いただきました。一般家庭とは違い、マスタリング・スタジオで入力されるのは、CDソフトではなく、96kHz/24bitなどのミックスダウンマスターや、マスタリング後の44.1kHz/16bitマスターなどです。CDソフトの平面的な音質の壁を突破するNS441D技術という飛び道具は、マスタリング・スタジオではあまり必要とされていません。それよりも、純粋なD/Aコンバーターとしての性能や音質が求められます。厳しいプロ現場でのDAC-NS1Sの採用は、大いに自信に繋がりました。

その日の比較試聴対象は、数多くのスタジオ採用された名機SONY/PCM-1630でした。PCM-1630で製作されたCDマスターの数は、おそらく世界一でしょう。オレンジさんでは、そのPCM-1630を本来のデジタルプロセッサーという用途だけでなく、D/Aコンバーターとしても使用されてきました。DAC-NS1S導入へ、超えていかなかればならない大先輩と言えるでしょう。

PCM-1630のD/Aコンバーター部のサウンドは、本当に素晴らしいものです。愛され続けた名機には、きちんと理由があります。価格は民生機の10倍以上はするでしょうが、魅力はそれ以上のもの。第1回目の比較試聴では、DAC-NS1Sに良さはあるものの、まだ達成できていない高みがあることが認識できたのでした。後日行われた第2回目の試聴では、バージョンアップしたDAC-NS1Sの実力は高く評価され、無事採用が決定しました。

その時に出たアイデアが、DAC-NS1Sのバランス音声出力のチューニング変更です。新設計ディスクリート回路のアンバランス音声出力に比べれば、どうしてもオペアンプ回路はナローレンジであり聴き劣りもしてしまいます。そこでその特徴を逆手に取り、ヴィンテージ的なアプローチはできないものかということでした。具体的には、STUDER/A820の音声出力のようなサウンドという提案です。

ヴィンテージ・サウンドというと、古い音のようなイメージと捉えられがちですが、DAC-NS1Sのバランス出力が目指したのは、少しそれとは違います。また、往年の名機のサウンドをそのままコピーをしたわけでもありません。70年代当時の機器が持っていた、音像を中央にギュッと凝縮し、勢い良く放出するあの感じ。楽器で例えるなら、60年代ストラトキャスターやジャズベースが持つ、決してワイドレンジではないけれども、芯のあるサウンド。そういうスピリッツが、DAC-NS1Sのバランス音声出力の目標です。

結果は大成功。圧倒的ワイドレンジのアンバランス出力の陰に隠れていたような印象だったバランス出力が、活き活きと蘇りました。個人的には、未来的とさえ感じるほど心揺さぶる音楽再現のアンバランス出力が大好きですが、バランス出力の温かみがある力強さに惹かれる方も多いのではないでしょうか。

どちらかなんて、私には選べそうにありません。愛すべき音楽は、どちらもあふれるほど流れているのですから。
2007/12/13(Thu) 13:43:36 | DAコンバーター

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